韓国の慶熙大学校の研究チームによる大規模な調査で、帯状疱疹ワクチンが心血管疾患(CVD)のリスクを有意に低下させることが示されました。この研究成果は、2025年5月に専門誌『European Heart Journal』に掲載されています。
主な研究内容と結果は以下の通りです。
1. 研究の規模と対象
対象者: 韓国の50歳以上の成人、約127万人(ワクチン接種群と非接種群を各63万人強にマッチング)。
追跡期間: 2012年から2021年までのデータを基に、中央値で6.0年間(最長12年間)追跡。
使用ワクチン: 帯状疱疹の生ワクチン(弱毒生水痘ゾスターワクチン)。
2. リスク低下の具体的な数字
ワクチン接種を受けたグループは、受けていないグループと比較して以下のリスクが低下しました。
全心血管イベント全体: 23%低下
主要心血管イベント(脳卒中、心筋梗塞、心血管死): 26%低下
心不全: 26%低下
虚血性心疾患: 22%低下
3. 特徴とメカニズム
持続期間: ワクチンの保護効果は接種後最大8年間持続し、特に接種後の2〜3年間で最大の効果が見られました。
顕著な対象: 男性、60歳未満、および不健康な生活習慣(喫煙、飲酒、運動不足など)を持つ人々で、より高いリスク低減効果が観察されました。
理由: 帯状疱疹ウイルスは血管へのダメージ、炎症、血栓形成を引き起こし、それが心臓病や脳卒中の引き金になることが知られています。ワクチンで感染や重症化を防ぐことが、間接的にこれらの血管トラブルを抑えていると考えられています。
補足と注意点
この研究で分析されたのは主に「生ワクチン」です。現在日本で主流になりつつある「不活化ワクチン(シングリックス)」については、今後さらなる研究が期待されています。
研究チームは、この結果がアジア人(韓国人)のコホートに基づいているため、他の人種にもそのまま当てはまるかどうか、また観察研究であるため直接的な因果関係の証明にはさらなる調査が必要であるとしています。
帯状疱疹の予防だけでなく、長期的な心臓の健康維持という観点からも、非常に興味深い知見といえます。


